SaaS企業のIR資料

SaaSのIR仕事

SaaS企業のIR資料でどのような指標が開示されているのかを調査しましたので、その結果を皆さんに共有します。

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調査の前提

調査の対象資料は直近の決算説明会資料を参照しました。

また、対象会社と対象の決算期は下記のとおりです。

対象会社決算期
freee2020年6月30日
マネーフォワード2020年11月30日
カオナビ2020年3月31日
Sansan2020年5月31日
ラクス2020年3月31日
チームスピリット2020年8月31日
ユーザベース2020年12月31日
チャットワーク2020年12月31日

調査した項目は売上高や営業利益率などの有報などから簡単に算出できるものは除いております。

SaaS企業の開示指標項目

それでは上記の会社でどのような指標が開示されているのか確認していきます。

ARR

まず、1つ目がARRです。

ARRとはAnnual Recurring Revenueの略となっておりまして、年間で定常的にもらえる収益を意味しています。

詳しい解説はこちらをご覧ください。MRRから算出できます。

このARRを開示している企業は下記になります。

対象会社ARRの開示の有無
freee
マネーフォワード
カオナビ×
Sansan×
ラクス×
チームスピリット
ユーザベース
チャットワーク×

結果としては上記の通り4社のみの開示となっていました。

期末時点のARRとしては、期末のMRRの12倍で算出することが一般的ですが、×の企業もストック売上として期末のMRRと同様の意味のもののみであれば開示していました。

ARRはSaaSにとってビジネスの進捗を見るうえで欠かせないポイントですね。

ストック売上高比率

次はストック売上高比率です。

先ほどのARRを総売上高で割った数値ですね。

ストックになる定常収益以外にも、初期導入サービスであったり、オプションサービスが売上に含まれることが多いですので、ARRの割合を開示しています。

ストック売上高比率を開示しているのは下記の企業になります。

対象会社ストック売上高比率の開示の有無
freee
マネーフォワード×
カオナビ
Sansan
ラクス
チームスピリット
ユーザベース×
チャットワーク×

顧客数

次に顧客数です。

契約数と表現している会社もありますが、サービスを使ってもらっている会社の数ですね。

こちらを開示している企業は下記のとおりです。

対象会社顧客数の開示の有無
freee
マネーフォワード
カオナビ
Sansan
ラクス
チームスピリット
ユーザベース×
チャットワーク

ユーザベース以外の会社は全て開示しています。

どのくらいのシェアを取っているのかをアピールするにはいい指標ですね。

ARPU/ARPA

次はARPUもしくはARPAです。

2通りの表記に分かれていますが、意味しているものはほとんど同じでARRを顧客数で割った数値です。ユーザー(User)かアカウント(Account)の違いです。

1社あたりから得ている収益を表していますね。

こちらを開示している企業は下記になります。

対象会社ARPU/ARPAの開示の有無
freee
マネーフォワード
カオナビ
Sansan×
ラクス×
チームスピリット
ユーザベース×
チャットワーク

ARPU/ARPAは高いに越したことはないです。

ただ、全体のバランスに対してこの値が高すぎると、1社への依存度が高いことを意味しますので、チャーンがあったときに収益を大きく落とすリスクがあるとも言えます。

解約率

次は解約率です。

チャーンするレートですね。

解約率を開示している企業は下記のとおりです。

対象会社解約率の開示の有無
freee
マネーフォワード
カオナビ
Sansan
ラクス×
チームスピリット
ユーザベース
チャットワーク

ラクス以外の7社が開示しています。

ARRを積み上げていく中では、当然解約されることもあるわけですが、自社のサービスが良いと継続して利用してもらえます。

解約率が低いとそのアピールになりますね。

NRR

次はNRRです。

NRRはNet Revenue Retention (Rate)、もしくはNet Retention Rateの略で、基準となる時点の顧客が基準時点と現在でどの程度売り上げが増減したかを表しています。

NRRを開示しているのは下記です。

対象会社NRRの開示の有無
freee×
マネーフォワード×
カオナビ×
Sansan×
ラクス×
チームスピリット×
ユーザベース×
チャットワーク

意外にも開示しているのはチャットワークのみでした。

ARRやARPU/ARPAを説明する流れで触れることもできるので、わざわざ開示しなくてもいいという整理なのかもしれませんね。

NRRについて知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

LTV

続いてはLTVです。

Life Time Valueの略で、日本語に訳すと「顧客生涯価値」となります。

簡単に言うと、1つの会社から得られる利益の総額を意味します。

SaaSの場合の計算式はこちらです。

LTV=ARR÷顧客数×売上高総利益率÷解約率

1社あたりの年間の粗利をチャーンするまでの平均期間で掛けたものです。

LTVを開示しているのは下記になります。

対象会社LTVの開示の有無
freee×
マネーフォワード×
カオナビ
Sansan×
ラクス
チームスピリット×
ユーザベース×
チャットワーク×

投資家にとっては将来の利益が確認できるのでLTVは良い指標と思うのですが、あまり開示している企業はありませんでした。

他の指標から計算できるからかもしれません。

LTVについて知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

CAC

続いてはCACです。

Customer Acquisition Costの略であり、日本語では「顧客獲得費用」を意味します。

1社を新規に獲得するための費用ですね。

コストに見合った収益を獲得できているのかを分析する際に使用しますので、基本的にはLTVとセットで確認します。

CACを開示しているのは下記のとおりです。

対象会社CACの開示の有無
freee×
マネーフォワード×
カオナビ
Sansan×
ラクス×
チームスピリット×
ユーザベース×
チャットワーク×

CACを開示しているのはカオナビのみでした。

カオナビはLTVも開示していますので、コスト以上の収益を獲得していることをしっかりアピールしています。

まとめ

SaaS企業のIR資料を調査した結果をお伝えしました。

ARRや解約率などは業界特有の指標になりますので、どの会社も割と開示している傾向にあります。

似たような指標をいくつも開示する必要はないと思いますが、自社のビジネスの状況をうまく説明できるといいですね。

そもそもSaaS業界について知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

この内容が皆さんのお役に立てば幸いです。

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