SaaSの業界にいるとLTVという単語を聞くことがあるかと思います。
そこでこの記事ではLTVの内容について解説いたします。
LTVとは
まず、LTVについて説明いたします。
LTVとはLife Time Valueの頭文字を取ったもので、日本語に訳すとライフタイムバリュー、つまり「顧客生涯価値」を意味します。
1人の顧客から将来的に総額でどれくらいの利益を得られるのかを表した指標ですね。
主にはマーケティングの用語として使われることが多いです。
SaaSの業界で応用すると、契約開始からチャーン(解約)されるまでの期間で得られる利益を指します。
LTVの計算方法
次にLTVの計算方法を説明いたします。
一般的なLTVの計算方法は下記になります。
単価はお客さんの平均単価ですね。自社商品を購入してくれる時に、平均して1度に使用してくれる単価を用います。
購買頻度は、1か月あたり何回購入してくれるかの割合になります。
期間は、お客さんが自社商品を買い続けてくれる月数を用います。
購買頻度と期間の単位を合わせることで、1週間ごとや1年ごとの計算にすることも可能です。
これをSaaSでのLTVの計算方法に変更すると次の計算式になります。
=ARR÷顧客数÷チャーンレート
ARPU(ARPA)が顧客当たりのARRですね。
チャーンレートは解約率になります。解約率で割ることで顧客の平均契約期間が算出できます。
LTVの計算式だけでは分かりづらいと思いますので、具体例で確認していきましょう。
LTVの具体例
次の条件のLTVを計算してみます。
- ARR=10,000円
- 顧客数=5社
- チャーンレート=10%
まず、ARPUですが、10,000(円)÷5(社)=2,000となります。
従ってLTV=2,000÷10%=20,000円です。
チャーンレートが10%ということは、10回目の契約更新のタイミングで解約されるということですので、下図のように10年分の利益が得られることになります。
今回はARRで計算しましたが、LTVを粗利ベースで計算することも可能です。
その場合は下記のように売上高総利益率を掛けることで計算可能です。
LTVの使い方
LTVの計算方法が分かったところで、LTVの使用方法を考えていきましょう。
LTVの使い方としては主に次の4点です。
- LTVを最大化する戦略を決める
- 製品開発への投資額を決める
- 新規の顧客を獲得するためのコストを決める
- 既存顧客へのCS(カスタマーサクセス)のコストを決める
LTVを最大化する戦略を決める
まず、1つ目のLTVを最大化する戦略を決めるということについて説明します。
LTVを単純に分解すると、単価を上げるのか、長期間契約してもらうのかでLTVを向上させることができます。
従いまして、経営戦略として単価か期間のどちらを重要視してアプローチしていくのかを決める際に使用します。
製品開発への投資額を決める
2つ目の製品開発への投資額ですが、LTVは1社あたりから得られる利益となります。
従って、見込みの顧客数を掛ければ1つのサービスから得られるトータルの利益が計算できます。
その利益に対しての投資可能な割合を掛ければ、製品開発への投資額の上限も算定できます。
新規の顧客を獲得するためのコストを決める
3つ目の新規の顧客を獲得するためのコストですが、LTVに対して、顧客獲得コストの上限も決めることができます。
当然ながら、LTVよりもコストをかけて顧客を獲得しても赤字になるだけですので意味がないですよね。
既存顧客へのCS(カスタマーサクセス)のコストを決める
4つ目のCSにかけるコストですが、こちらもLTVよりもCSのコストが上回ってしまうと赤字になってしまいます。
従って、既存顧客の契約を維持するためにCSにどの程度コストを掛けられるのかを計算しておく必要があります。
製品開発への投資額や、顧客獲得コスト、CSのコストを総合的に判断して、利益を得られるビジネスモデルを作っていく必要があります。
まとめ
LTVの内容について解説いたしました。
この指標を用いることで経営に生かせるといいですね。
SaaS企業がどのような指標を利用しているかについても知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
また、SaaS業界についてもっと勉強したい方は、こちらの記事もご覧ください。
この記事が皆さんのお役に立てば幸いです。