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SaaS企業のソフトウェア計上

SaaS企業のソフトウェア計上業務

SaaS企業におけるソフトウェアの取り扱いについて調べましたので、この記事で皆さんと共有したいと思います。

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調査対象

SaaS企業として調査の対象としたのは以下の会社です。

それぞれ有報の直近の決算期のものを参照しました。

基本的には連結の数値を引用していますが、単体しかない会社は単体の数値となっています。

会社名決算期
freee2020/6/30
マネーフォワード2020/11/30
カオナビ2020/3/31
Sansan2020/5/31
ラクス2020/3/31
チームスピリット2020/8/31
チャットワーク2019/12/31

調査結果

まずは、ソフトウェアの会計方針です。

会社名耐用年数
freee5年
マネーフォワード5年
カオナビ5年
Sansan3年から5年
ラクス5年
チームスピリット5年

SaaS企業のソフトウェアは自社利用のソフトウェアに該当します。

従って各社とも耐用年数が5年のところが多いですね。

チャットワークはソフトウェア計上がありませんでしたので、この表からは記載せずに進めます。

次にSaaS企業各社のソフトウェア計上額と総資産に占める割合をまとめます。

会社名ソフトウェア
(単位:千円)
総資産
(単位:千円)
総資産割合
(%)
freee706,18317,898,3143.95
マネーフォワード623,05721,711,7482.87
カオナビ18,5832,397,6450.78
Sansan925,80322,819,7684.06
ラクス49,2127,039,1850.70
チームスピリット205※2,810,9440.01

軒並み1%を切っている中、freeeとマネーフォワードとSansanがソフトウェア計上額が多いのが分かります。

(※チームスピリットはソフトウェアとしての開示ではなく、その他でまとめて開示されておりましたので、参考値です。)

SaaS企業の場合、先行投資が大きく利益の回収までに時間がかかるのでソフトウェアの計上額が小さくなりがちですよね。

ソフトウェアに計上したとしても、減損対象になりやすいのも特徴です。

減損損失に関してはこちらの記事をご覧ください。

次に売上高との比較を見てみましょう。

当然ですが、こちらもソフトウェア計上額の大きいfreeeとマネーフォワードとSansanが売上に対しても、高い割合で計上していることが分かります。

会社名ソフトウェア
(単位:千円)
売上高
(単位:千円)
売上比率
(%)
freee706,1836,895,24010.24
マネーフォワード623,05711,318,2175.50
カオナビ18,5832,624,7920.71
Sansan925,80313,362,3706.93
ラクス49,21211,608,0410.42
チームスピリット205※2,445,6610.01

次に営業利益を見てみましょう。

SaaS企業の各社の営業利益はこちらのようになっています。

会社名ソフトウェア
(単位:千円)
営業利益
(単位:千円)
freee706,183△2,681,097
マネーフォワード623,057△2,804,783
カオナビ18,583△277,649
Sansan925,803757,266
ラクス49,2121,174,468
チームスピリット205※285,846

ここで少し意外なのが、freeeとマネーフォワードが赤字であるということです。

ソフトウェア計上が大きいにもかかわらず、赤字で減損しないことができているのはどのような論理なのでしょう。

将来キャッシュフローが大きいということでしょうか。

ということはこの2社はそろそろ黒字転換が近いとも考えられますね。

まとめ

SaaS企業のソフトウェアの取り扱いについてまとめました。

営業利益がきちんと出るまではソフトウェアの計上額は小さい企業が多いですね。

とはいえ、SaaS企業のソフトウェアはサービスの根幹を成すものなので、将来的には資産計上額が増えてくるものと思います。

ソフトウェアについての一般的な話について興味のある方はこちらの記事もご覧ください。

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