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収益認識基準の消費税の処理

収益認識基準の消費税の処理 業務

収益認識に関する会計基準が2021年4月以降に開始する事業年度から適用となりました。

この影響により、売上を純額で計上する企業も一定数出てくるものと思います。

ただ、売上を減少させたときの消費税の処理まで気にして仕訳を計上していますでしょうか?

今回の記事では収益認識基準を適用した時の消費税の処理を仕訳例で説明していきます。

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消費税の考え方

消費税は実際の取引額に基づいて課税標準を計算するという仕組みになっています。

それは収益認識基準の適用により会計処理と法人税の扱いが変更されたとしても変わりません。

従って、売り手における課税売上に係る消費税額と、それに対応する買い手における課税仕入に係る消費税額を一致させる必要があります。

簡単に言うと、売上と仕入のそれぞれの取引に対して消費税は課税されるので、それが純額になろうが関係ないということですね。

設例の前提

では、具体例で確認していきます。

A社は100万円(税抜)の商品を販売するのに80万円 (税抜) の仕入れが発生するが、これが収益認識基準によると純額処理が必要と判断された。

仕訳例

この前提条件での仕訳はどのようになるかというと、下記のようになります。

借方 貸方
売掛金 1,100,000 売上 200,000
仮払消費税等 80,000 買掛金 880,000
    仮受消費税等 100,000

注意する点としては消費税の金額です。

最終的な売上200,000円に対する20,000円が計上されるわけではなく、100万円の売上と80万円の仕入れそれぞれにかかる消費税が認識される点です。

経理実務の仕訳案

さて、上記のように収益認識基準で純額処理の仕訳を計上したい場合、おそらくPL科目に対して消費税が計上できる会計システムが多いと思いますので、通常の会計システムでは直接計上できないことが多いと思います。

そこで、下記のように3段階に分けて計上する必要が出てきます。

売上の計上

まず、収益認識基準で純額になる前の、総額の売上の計上だけを行います。

借方 貸方
売掛金 1,100,000 売上 1,000,000
    仮受消費税等 100,000

これにより、仮受消費税等が正しく計上できます。

仕入の計上

次に仕入の計上を行います。

借方 貸方
仕入 800,000 買掛金 880,000
仮払消費税等 80,000    

この仕訳により、仮払消費税等が正しく計上できます。

売上金額の調整

最後に売上金額を純額にするために振替仕訳を計上します。

借方 貸方
売上 800,000 仕入 800,000

この3つの仕訳を合計すると、正しい仕訳が計上されることになります。

まとめ

収益認識基準による仕訳例を説明いたしました。

売上を純額にする必要があるということは皆さん検討すると思いますが、消費税まで気が回っていないと後々面倒なことになります。

案件が増えてくると純額にする金額の把握が難しくなってきますからね。

従って、できるだけ早く運用を決めて、正しい会計処理を行ってください。

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