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SaaSのチャーンレートとは?

SaaSのチャーンレートとは? 業務

SaaSのビジネスを行っている場合、チャーンレート(Churn Rate)を意識して経営を行っていかなくてはいけません。

そこでこの記事では、チャーンレートについて内容や計算方法について解説します。

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チャーンレートとは?

まずチャーンレートの内容について解説いたします。

チャーンレートとは、基準時点の顧客に対して、現時点までの間にチャーン(Churn)があった割合を示します。

そして、チャーンレートには次の3つがあります。

  • カスタマーチャーンレート
  • グロスレベニューチャーンレート
  • ネットレベニューチャーンレート

カスタマーチャーンレート

カスタマーチャーンレートは、顧客数で計算したチャーンレートになります。

総顧客数に対して、何社解約されたのかを示しています。

グロスレベニューチャーンレート

グロスレベニューチャーンレートは、MRRの金額で計算したチャーンレートになります。

MRRの合計に対して、どの程度のMRRが減少したのかを示しています。

ネットレベニューチャーンレート

ネットレベニューチャーンレートは、グロスレベニューチャーンレートと同じくMRRの金額で計算したチャーンレートになります。

グロスレベニューチャーンレートとの違いは、解約されたものだけでなく、新規の顧客やアップセルで増加した収益も計算に含めている点です。

従って、MRRの合計に対して、どの程度のMRRが増減したのかを示しています。

MRRの増減率とも言えます。

似たような指標にNRRもありますので、NRRについて知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

チャーンレートの計算式

次にそれぞれのチャーンレートの計算式を見ていきます。

カスタマーチャーンレート

カスタマーチャーンレートの計算式は以下になります。

失った顧客数÷基準時点の顧客数

基準時点から何社の顧客を失ったのかをこの方法で計算していきます。

グロスレベニューチャーンレート

グロスレベニューチャーンレートの計算式は以下になります。

減少したMRR÷基準時点のMRR

基準時点のMRRからどの程度のMRRが減少したのかを計算します。

ネットレベニューチャーンレート

ネットレベニューチャーンレートの計算式は以下になります。

(減少したMRR-増加したMRR)÷基準時点のMRR

基準時点のMRRからどの程度のMRRが増減したのかを計算します。

チャーンに重きを置いておりますので、減少から増加を差し引くことに注意が必要です。

チャーンレートの具体例

では、実際にチャーンレートを具体例で計算してみたいと思います。

具体例1

以下のような契約状況で、1月を基準に2月のチャーンレートを計算します。

B社のチャーンがあったが、E社を新規獲得したという設定です。

  1月 2月
顧客数 MRR 顧客数 MRR
A社 100 1 100
B社 200    
C社 300 1 300
D社 400 1 400
E社     1 300
合計 1,000 4  1,100

カスタマーチャーンレートは次のようになります。

1(B社)÷4(1月の顧客数)=25%

グロスレベニューチャーンレートは次のようになります。

200(減少したB社のMRR)÷1,000(1月のMRR)=20%

ネットレベニューチャーンレートは次のようになります。

{200(減少したB社のMRR)-300(増加したE社のMRR)}÷1,000(1月のMRR)=△10%

具体例2

次にB社ではなく、D社がチャーンになった場合で計算してみます。

  1月 2月
顧客数 MRR 顧客数 MRR
A社 100 1 100
B社 200 1 200
C社 300 1 300
D社 400    
E社     1 300
合計 1,000 4 900

カスタマーチャーンレートは次のようになります。

1(D社)÷4(1月の顧客数)=25%

グロスレベニューチャーンレートは次のようになります。

400(減少したD社のMRR)÷1,000(1月のMRR)=40%

ネットレベニューチャーンレートは次のようになります。

{400(減少したD社のMRR)-300(増加したE社のMRR)}÷1,000(1月のMRR)=10%

検証

上記の具体例を比較して検証してみます。

  B社がチャーンになった場合 D社がチャーンになった場合
カスタマーチャーンレート 25% 25%
グロスレベニューチャーンレート 20% 40%
ネットレベニューチャーンレート △10% 10%

まず、カスタマーチャーンレートはどちらも1社チャーンがあっただけなので、同じ25%です。

一方で、グロスレベニューチャーンレートは大きな差が出ています。B社がチャーンになった場合には20%だったものが、D社がチャーンになった場合は40%です。

経営を考えていく上では、収益性の高い顧客のチャーンはダメージが大きいので、優先的にチャーンが起こらないように対応していく必要があります。

また、ネットレベニューチャーンレートは、B社がチャーンになった場合は△10%で、D社がチャーンになった場合は10%とこちらも差が出ています。

ネガティブチャーン

上記の例で、B社がチャーンになった場合の△10%はネガティブチャーンと呼ばれる状態です。

ネガティブチャーンとは、ネットレベニューチャーンレートがマイナスの状態で、減少したMRRよりも獲得したMRRのほうが大きい状態を示しています。

より収益力の高い顧客を獲得できていますので、会社の評価は高くなる傾向になります。

顧客を獲得するコストや、顧客の契約を維持するためのコストは、MRRの金額に関わらずある程度一定のコストはかかるものです。

従って、会社の限られたリソースを効率的に活用していることになります。

まとめ

チャーンレートについて解説いたしました。

SaaSのビジネスにおいては、LTVをいかに大きくするかが重要です。

LTVを大きくするためにもチャーンを減らしていくことが求められますので、このチャーンレートの計算方法を覚えて、活用してください。

LTVについて知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

また、SaaS業界について知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

チャーンを減らすための取り組みが勉強できると思います。

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