まず、会計システムを導入するにあたって重要なのは、導入する目的を明確化することです。
導入目的の明確化が必要な理由
導入目的が曖昧だと、なぜ会計システムを導入するのか、なぜ既存のシステムから入れ替えるのかが関係者に伝わらず、プロジェクトの失敗に繋がりかねません。
当事者でない人にとっては、既存のやり方から変わると新しく覚えることも増えますので、反対される可能性もあります。
そうならないためにも、なぜ会計システムを導入するのかを明確に説明できるようにしておきましょう。
導入することにより、システムを移行するコスト、従業員への教育のコストは少なくとも発生します。
そのコストを上回る導入目的が明確に示されると良いですね。
導入目的の具体例
では、具体的に会計システムを導入する場合の導入目的の例を挙げてみます。
- 業務効率化を図るため
- 経営分析を高度化するため
- 上場準備のため
- コスト削減のため
もちろんこれ以外にも会計システムを導入する目的はあると思いますが、主に考えられるものを4つ挙げました。
業務効率化を図るため
1つ目に考えられる会計システムを導入する目的は、業務効率化を図るためです。
現状の決算作業に多くの時間を要している場合や、多くの人数をかけてやっている作業をシステム化で省力化する場合などが当てはまります。
手作業で色々なところから情報を集めてきて集計していた作業を、システムで簡単に出せるようになれば、業務効率が上がるうえにデータの正確性も担保されるようになります。
経営分析を高度化するため
2つ目に考えられる会計システムを導入する目的は、経営分析を高度化するためです。
会計システムにより、仕訳に紐づけられる情報の上限は決まっています。
簡単なシステムだと、仕訳には勘定科目と金額と摘要程度の情報しか持たせることが出来ません。
しかし、高度な会計システムだと、補助科目や取引先、部門、セグメント、商品、販売地域など多様な情報を仕訳に結び付けることが出来ます。
そうすることで、例えば売上金額を商品別に確認したいとか、販売地域別に確認したい場合に、その情報が集計できるようになります。
こうすることで経営判断に有用な情報が集計できるようになります。
上場準備のため
3つ目に考えられる会計システムを導入する目的は、上場準備のためです。
上場に必要なシステム要件として考えられるのは主に3つあります。
- 決算早期化が可能
- 監査法人の依頼事項に対応できる
- 内部統制に対応している
決算早期化が可能
1つ目の決算早期化は業務効率化を図る部分と内容は同じです。
上場後は決算数値を早期に確定し開示することが求められます。従って業務効率化を図る必要があります。
監査法人の依頼事項に対応できる
2つ目の監査法人対応ですが、こちらは経営分析を高度化するためと内容的には同じになります。
監査手続きの中で色々な切り口の資料を要求されることになりますが、その要求に対応できる情報を会計システムに備えておくことが求められます。
例えば、取引金額の大きい上位10社との請求書を確認したいと監査法人から要求されたとします。その際に、まず上位10社を見つける作業に数時間かかっていれば監査は期限内に終わりません。
取引先別に出力できるシステムであれば、容易に抽出できますので、監査法人の要求にも素早く対応することが出来ます。
もちろん依頼される資料は状況によって変わりますので、すべての依頼に対応できる準備をしておくのは難しいです。
しかし、自社でも作成した決算数値が正しいことを検証できる状態にしておくことは求められます。
内部統制に対応している
3つ目の内部統制に対応していることですが、ここが1番重要なポイントになります。
内部統制の詳しい話は省略しますが、会計システムを導入するにあたり重要ポイントは2点です。
- 仕訳の承認機能がある
- システムのログが確認できる
上場するためには正しい決算数値を作成する必要があります。そのために適切な承認者がメンバーの作成した仕訳を承認しているという状態を作る必要があります。
そして、その承認された仕訳のみで財務諸表が作成されていることが重要です。
上司の知らないところで仕訳が計上され、それがそのまま財務諸表に反映されてしまっては困ります。従って承認機能は必須となります。
システムのログですが、仕訳のミスがあった場合に、いつ誰が間違えたのかを検証できる仕組みが必要です。そうすることで、経理業務が改善され、ミスの防止に繋がっていきます。
適切な業務フローを作成するためにも、ログが蓄積されていることが重要になります。
コスト削減のため
4つ目に考えられる会計システムを導入する目的は、コスト削減のためです。
会計システム自体の利用料が高いので、安価な会計システムに乗り換えることや、使いこなせていない機能がたくさんあるので、余分な機能のない会計システムに変更することを指します。
1つ目の業務効率化にもつながる話ですが、経理業務の人件費がたくさんかかっているので、システムを入れて人件費を抑制する。
このように、会計システム自体の金額が高いから変更する場合もあれば、人件費など他の費用を削減するために導入する場合もあります。
会社として全体最適な投資を行う必要がありますので、コスト削減のために導入する会社も多数あります。
まとめ
会計システムを導入する際の、目的の明確化について記載しました。
会社の状況によって目的は色々とありますが、会社が導入を行う意思決定をするためには目的の明確化が必要となります。
プロジェクトのカギとなる部分でもありますので、しっかり社内で検討しましょう。
導入目的が明確されれば、次はシステムの選定となります。
会計システム導入の全体像はこちらの記事で解説しています。
もしシステム移行でお困りのことがあれば、こちらの記事もご覧ください。お役に立てることがあると思います。