経理部で仕事をしていると、1株当たり当期純利益という単語が良く出てきます。
英語ではEPS(Earnings Per Share)と呼ばれるもので、日本でも「1株当たり利益」、「1株利益」なんて呼んだりもします。
上場企業の経理で働いていると、1株当たり当期純利益を計算する場面があるのですが、計算方法やその活用法がよく分からない方のために、この記事で解説いたします。
計算方法
1株当たり当期純利益の計算方法は下記の通りです。
当期純利益は税引き後当期純利益を採用しますので、PLの最後に出てくる数字ですね。
発行済株式総数は株式の発行数なのですが、自己株式を除いて計算することが一般的です。
また、当期純利益が会計期間の合計で計算されますので、発行済み株式総数もその期間の平均で計算することが一般的です。
例 4月から3月の年間のEPS(1株あたり当期純利益)を計算する場合
当期純利益 4月から3月の合計の当期純利益
発行済株式総数 4月から3月の平均値
自社株買いを行った場合などは、期中で株式総数が変動しますので注意が必要ですね。
活用法
1株当たり当期純利益の活用方法ですが、投資判断をするときに主に用いられます。
EPS(1株あたり当期純利益)単独で使用されることはあまりなく、PERと配当性向を計算するときに活用されます。
PER
PERは株価収益率と呼ばれるものですが、株価が1株当たり当期純利益の何倍になっているかを図る指標です。
計算方法は下記となります。
収益の何倍の株価になっているかが分かりますので、例えば株価が1,500円でEPS(1株あたり当期純利益)が100円だった場合、PERが15と計算されますので、15年で投資を回収できると考えられます。
例えば、将来的に収益が伸びそうな企業はPERが高い傾向にありますね。
なぜなら株価が一定とすると、利益が増加する⇒EPSが増加する⇒PERが低下するというステップを踏みますので、長期的に見れば割高ではないと判断できるためです。
配当性向
配当性向は当期純利益のうちどれだけを配当として株主に還元しているかを示す指標です。
計算方法は下記となります。
当期純利益がその期の配当減資になりえる金額ですが、そのうち配当にいくら使って、内部留保にいくら使うのかを示します。
株主としては配当がもらえるのはいいことですが、内部留保がないと新規投資にお金が回せないので、今後の成長への期待感は薄まり、株価の下落につながる可能性もあります。
株主の投資方針と会社の経営方針に影響する指標ですので、ある程度の水準を維持する会社が多いです。
まとめ
1株当たり当期純利益について解説しました。
会社内でEPS(1株当たり当期純利益)の数字を見て議論することは少ないですが、投資家にとっては重要な指標となっています。
当期純利益を高くすると必然的にEPS(1株当たり当期純利益)も増加しますが、配当金額とのバランスを問われますので、合わせて検討することが重要です。
この記事が皆さんのお役に立てれば幸いです。