会計システムの導入目的が明確化されたら、次は導入する会計システムを決めます。
会計システムはいくつも存在しますので、その中から自社にとってベストな会計システムを選定する作業です。
システムを選定するにあたっては、まず候補となるシステムを選び、その中で比較検討して決めることになります。
会計システムの導入目的については、こちらの記事で解説しております。
会計システム候補の選定
候補となる会計システムを選定するにあたってはシステムテストを実施することになります。
どのシステムが自社にとってベストなのかを検証する作業です。
システムテストの目的
システムテストを通して検証したいことは主に次の2点です。
- 会計システムの導入目的が達成できるのか
- 既存の業務が問題なくこなせるのか
当たり前ですが、システムの導入目的が達成できるシステムを選択する必要があります。
完全に目的を達成できるシステムはないかもしれませんが、運用でカバーするのか、他のシステムと組み合わせて使用するのかなどを確認します。
また、導入目的が達成されたとしても、既存の業務に支障が出てしまっては本末転倒です。
そのため、現状の業務を行えるシステムなのかも検証する必要があります。
システムテストの方法
会計システムの導入において、システムテストを行う手順としては下記となります。
導入目的の検証
- 導入目的が達成された状態をリスト化
- その状態となっているかを検証
まず、導入目的が達成できるかを検証するわけですが、最初に行うのはどういう状態だったら達成できたと言えるかを明確化することです。
例えば、上場準備のために会計システムを導入するという目的の場合には、「仕訳の承認機能がある」「承認後はユーザーは仕訳を変更できない」「仕訳の変更履歴が確認できる」などが達成された状態と考えられます。
こうした項目を列挙していき、1つ1つ新しい会計システムで実施できるのかを検証します。
もしできないものがあった場合には、運用でカバーできるものなのか、他のシステムでカバーできるものなのかも検証しておきましょう。
何かでカバーできるものであればその会計システムは導入候補に残りますが、どうやっても実施できないのであれば、その会計システムは導入すべきではありません。
既存業務の検証
- 既存の業務フローを洗い出し
- その業務フローが行えるのか検証
既存業務の検証はかなり労力を使います。
まず、既存の業務フローの洗い出しを行います。ここは発生しうる業務をきちんと洗い出す必要があります。
例えば仕訳の計上の場合、以下のようになります。
- 仕訳を起票する
- 上長が承認する
- 財務諸表に反映される
- 上長が承認を外す
- ユーザーが仕訳を編集する
- 上長が承認する
- 財務諸表が変更される
仕訳を間違えずに計上できれば問題ありませんが、実務においては修正が発生することも念頭に置いた業務フローを洗い出す必要があります。
- 仕訳を起票する
- 上長が承認する
- 財務諸表に反映される
このように修正するパターンを想定せずにシステムテストを実施した場合、仕訳の修正が出来ないシステムだと導入してから気付く恐れがあります。
そうなると、仕訳をミスした場合は「貸借反対の仕訳を計上してから正しい仕訳を計上する」という新しい運用に変える必要が出てきます。
運用を変えるつもりでなかったところを変えなければならない状況になりますので、必ず既存の業務フローを入念に洗い出してください。
こうして洗い出した業務フローを新しい会計システムで検証していきます。
こちらも、もしできないものがあった場合には、運用でカバーできるものなのか、他のシステムでカバーできるものなのかも検証しておきましょう。
会計システムの選定
会計システムの候補がシステムテストにより絞られてきたら、最後に導入するシステムを決めます。
各社で重要視するポイントは異なりますが、以下のポイントを比較する会社が多いかと思います。
- コスト(導入コスト及びランニングコスト)
- 使いやすさ、業務効率性
- 他のシステムとの連携
- システムの将来性
こうしたポイントをシステムごとに順位付けし、最も評価の高いシステムを導入することに決めます。
この流れで選定することで、選定したロジックが明確になりますので、上司や取締役会の承認も取りやすくなります。
まとめ
会計システムの選定について記載しました。
会計システムはたくさん存在しますが、それぞれのシステムごとにお客さんとなるターゲットは異なります。
自社にとってベストな会計システムを選定できるようこの記事がお役に立てば幸いです。
システムの選定が完了したら、次は新しい業務フローを構築する作業となります。
会計システム導入の全体像はこちらの記事で解説しています。
もしシステム移行でお困りのことがあれば、こちらの記事もご覧ください。お役に立てることがあると思います。