経理で業務を行っていると、引当金という言葉がよく使われます。
賞与引当金、退職給付引当金、修繕引当金、返品調整引当金、貸倒引当金、ポイント引当金などが企業の財務諸表を見ていてよく出てくるものですね。
IFRSだと有給休暇引当金も計上が必要になります。
ただ、「引当金」という文字だけではどのようなものか分かりにくいところもありますので、この記事では引当金の概要と計上要件について解説します。
経理初心者向けに記載していますので、基本的な内容を中心に記載します。
ちなみに私は経理歴10年を超えていますが、引当金は経理実務でも頻繁に出てきますので、しっかり理解しましょう。
引当金の概要
まず、引当金の概要ですが、将来に発生する費用のうち、今期に計上すべきものを費用化するための処理です。そのときの費用の相手科目として引当金が使われます。
例えば、賞与引当金の場合ですが、賞与を支給するのは来期だけど、当期の勤務実績で支給が決まります。従って、実際に働いているのは当期なので、その費用も当期に計上すべきですよね。
このように当期の事象に起因する将来の費用を計上するのが引当金となります。
ちなみに仕訳としては以下のようになります。
費用の相手科目が引当金ですね。引当金は負債科目となります。
引当金の計上要件
では、実際にどのような場合に引当金を計上するのかと言いますと、4要件と呼ばれるものがあり、引当金の4要件を満たしたときに計上することになります。
引当金4要件
- 将来の特定の費用又は損失であること
- 費用又は損失が当期以前の事象に起因して発生するものであること
- 発生の可能性が高いこと
- 金額を合理的に見積ることができること
例えば、賞与引当金だと次のように考えます。
- 来期に支払う賞与
- 当期の勤務実績に応じて支払うもの
- 来期の賞与は基本的に支払われる
- 就業規則等で計算方法が決まっている
このように引当金の4要件を満たすため、賞与引当金の計上が必要となります。
注意点としては、4つ目の項目にある通り、金額を見積もって引当金を計上することになります。
従って、どういう計算方法で見積もるのかというところをしっかり考慮しないと、引き当てた金額と、実際に将来発生する費用がずれることになります。
このずれが大きいと引当金を計上している意味がありませんので、実務では気を付ける必要があります。
まとめ
引当金の概要と計上要件について記載しました。
引当金は経理業務でもよく出てくる論点になります。
特に引当金の計上4要件は重要ですので、覚えておきましょう。
この記事で皆さんのお役に立てれば幸いです。
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