計算書類の附属明細書の1つに引当金明細があります。
貸倒引当金とか賞与引当金などの引当金を計上している場合は、この引当金の明細を作成しなければなりません。
ただ、実務においては引当金の仕訳を洗替方式で計上している場合が結構多いのではないでしょうか。
そうすると、増加したものと減少したものを区別することが難しいと思います。
そこでこの記事では、引当金を洗替で計上している場合の引当金明細の作成方法をお伝えします。
引当金明細は総額で作成
まず、引当金明細の原則は総額で記載することです。
引当金明細のひな型の注意事項にも下記のように記載されています。
(1) 期首または期末のいずれかに残高がある場合にのみ作成する。
(2) 当期増加額と当期減少額は相殺せずに、それぞれ総額で記載する。
(3) 退職給付引当金について、財務諸表等規則第 8 条の 13 を踏まえた注記を個別注記表に記載しているときは、附属明細書にその旨を記載し、その記載を省略することができる。
また、財規のガイドラインの121条にも似たような文面があります。
つまり、増加と減少に分けなさいと言っているのですね。
洗替だからと言って、ネットした金額を増加もしくは減少のどちらか一方に記載するのはNGです。
増加と減少の区分の仕方
では、洗替で計上している場合に、どうやって増加と減少に分けるのでしょうか。
洗替で引当金を計上している場合、その中身が増加したものか減少したものかを区別していくことは、かなり工数のかかる作業になります。
そのため、引当金明細を作成するときは、期首の引当金の残高にあるものを減少欄に記載し、期末の引当金の残高にあるものを増加欄に記載するのが一般的です。
このように作成すればOKです。
そもそも引当金について知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
まとめ
厳密には引当金の内容を精査して増加と減少に分けることが正しいですが、実務上はこのような間便法も頻繁に使用されています。
引当金以外にも、固定資産などの増減明細を開示している場合、意外とどの企業もこのような方法で開示していることが多いですよ。
興味のある方は、各社の開示資料を見てみると新たな発見があると思います。
この記事が皆さんのお役に立てれば幸いです。