新しい会計システム導入後の業務フローが固まりましたら、導入に向けて最終準備に入ります。
この記事では本番稼働までに行う導入準備の作業について記載いたします。
なお、業務フローの構築については、こちらの記事で解説しております。
導入準備で行うこと
会計システムを導入する準備として行うことは3つあります。
- 過去のデータ移行
- 並行稼働
- ユーザーへの教育
過去のデータ移行
まず、過去のデータ移行を行います。
会計システムを利用する上では、過去の数値との比較ができないと業務上困りますので、必ずデータ移行を行います。
過去1期分だけ移行するのか、全てのデータを移行するのかは会社の判断によりますが、少なくとも1期は移行するようにしましょう。
その際に1つ実施しておきたいのがマスタの整理です。
例えば、勘定科目体系を見直したり、取引先の名称のルールを統一したりします。
勘定科目についてはこちらの記事も参考にしてください。
例えば、取引先については以下のような付け方で二重登録になっていたり、分かりづらくなっていることはありませんか?
- 株式会社あいうえお
- (株)あいうえお
- あいうえお
業務を行う上でミスの原因となる要素ですので、会計システムを導入するタイミングで統一したルールに見直しておきましょう。
マスタの整理が完了したら、実際に移行していきます。
データ移行の手順は以下となります。
- 移行するデータの抽出
- データのマスタの置き換え
- 会計システムへの登録
まず、既存の会計システムから移行したいデータを抽出します。多くの場合、仕訳データを抽出することになります。
次に、マスタの置き換えを行います。
先ほどマスタの整理について記載しましたが、勘定科目を変更する場合や、取引先のマスタを変更する場合は、このタイミングで行うことも1つの方法となります。
こうすることで、今後の財務諸表の比較が容易になります。
もちろん、正しく移行できたかを確認するために、そのままのデータを移行するというのも、1つのやり方となりますので、各社でご判断ください。
最後に会計システムへの登録を行います。
登録後は必ず財務諸表の数値があるべき残高になっているか確認しましょう。
正しく移行できていることが確認できれば、データ移行は完了となります。
並行稼働
並行稼働は、既存の会計システムを使用しながら、新しい会計システムでも実運用ができるのかを検証することを言います。
新しい会計システムに切り替えたものの、実務を行ってみたら全然使い物にならないという事態を避けるために、事前に検証しておくために行います。
並行稼働のやり方は単純です。
前回の記事で記載した新しい業務フローに沿って実務を行い、正しい処理が出来るかを確認するのみです。
並行稼働で注意するポイントは次の2点になります。
- 必ず一通りの業務を実施する
- 作業にかかる時間や業務分担も意識しておく
まず、必ず一通りの作業を実施してください。意外と些細なところで躓くことがあります。
例えば、仕訳を計上しようとしたらエラーが出て登録できないという状況が発生するかもしれません。システムテストで実施していたことも、改めて本番環境で試してみましょう。
また、作業にかかる時間や、実際の業務分担も考えて並行稼働を実施してください。
業務がスケジュール通りに進むのかという観点と、その業務を担当した人が既存の業務と合わせてこなせる分量なのかという観点を確認するためです。
システムの動作としては問題ない場合でも、業務フローや業務分担を見直さないと業務が回らない場合があります。
この点は意外と盲点になりますので、注意して実施しましょう。
ユーザー教育
並行稼働が完了して問題ないことが確認されれば、最後にユーザー教育を行います。
会計システムのマニュアルを作ることや、ユーザーへの説明会の実施などを行います。
ユーザー教育は初めて会計システムを使う方に向けて、丁寧な説明を心がけることが重要です。
ここを疎かにしてしまうと、結局稼働後に問い合わせ対応に時間を取られることになります。
そのため、ユーザー教育には十分な時間をかけることが、会計システムの導入後の運用をスムーズに進めるためのポイントとなります。
ここまで実施できれば、本番稼働して問題ない状態となります。
まとめ
会計システムの導入準備について記載しました。
本番稼働後のシステムの使いやすさや、業務がスムーズに回るかを決めるのはこの段階が重要となります。
ぜひこの記事を参考にして、準備を行っていただければと思います。
会計システムの導入の全体像については、こちらの記事で解説しております。
もしシステム移行でお困りのことがあれば、こちらの記事もご覧ください。お役に立てることがあると思います。